Sunday, February 12, 2017

幸福のパラドックス | 北風と太陽の話

この世界の多くは、パラドックスで出来ている。

たとえば「幸福」と「幸福を夢想」することは、まったくの別物だ。
だが僕たちの脳はけっこう馬鹿だから、よくこれを取り違える。


たとえば「年収が高いほど幸福になりやすい」というのが統計的に事実だとしても、
「年収が高ければ幸福になれるのに」と夢想し続けることは、幸福ではない。

たとえば「瞑想が幸福感をもたらしやすい」というのが事実だとしても、
「もっと瞑想する時間があれば、幸福になれるのに」と夢想し続けることは、幸福ではない。

たとえば休日に飲む一杯のコーヒーは、もちろん美味い方が良いにしても、
「もっと美味しいコーヒーが飲めるはずなのに」と思いながら飲むコーヒーは、不味く感じる。



僕たちは「良いものは、良い」と考えがちだ。
だけどもし不幸を感じているならば、それはまったく世界の仕組みを分かっていない証拠だ。

僕たちはよく「良いもの」に対する「ふるまい」も、全て、良いものだと考えてしまう。
だが「良いもの」に対しておこなわれるふるまいは、反対に「悪いもの」だという可能性がある。

僕らはこう考える。
「良いものを追い求めているのだから、良いふるまいをしているはずだ」と。
「良いものを追い求めているのだから、それに近づいているはずだ」と。

だけど実は「追い求める」をことで、逆に「求めるもの」から遠ざかっているかもしれない。
むしろ、そのパターンのほうが多いんじゃないだろうか。


たとえば「人に優しくすること」が良いことだとしても、
「人に優しくするのを強制すること」は、良いことじゃないかもしれない。

たとえば「新年の抱負を持つこと」が良いことだとしても、
誰かにそれを強制されたら、まったくやる気は起こらないかもしれない。

「経営者目線で仕事を考える」のが優れた働き方だとしても、
社長が社員にそれを言うのは、逆にモチベーションを下げるかもしれない。

たとえばダイエットをした方が健康に良いとしても、
ダイエットのことばかりを1日中考えていたら、逆に食欲が湧いて太ってしまうかもしれない。


この世界は多くのパラドックスで出来ており、求めるものを手に入れるのは、いちどそれを忘れる方が近道だったりする。

特に幸福なんていう奴は、特別にトリッキーな動きをする。
すごく近くにあるはずなのに、とても繊細で恥ずかしがりだ。
僕たちが欲しがれば欲しがるほど、幸福は逃げてゆくように出来ているのだ。


幸福に出会うためには、ちょっとだけ遠回りをする必要がある。

「幸福を夢想し続ける」というのは、逆努力だ。
だから不幸になる努力をやめるだけで、少しだけ幸福に近づくことが出来る。

旅人の服を脱がそうとして、北風を吹き付け続けるのはやめよう。
その逆に、太陽のように幸福を照らしてあげよう。


とても抽象的な話だ。
だけど、きっと伝わると信じている。



1 comment:

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